君と、世界の果てで
結局そのまま、何分か拘束されてしまった。
まさかと思ったが、俺達リズム隊にまで、手紙やプレゼントが渡された。
昔はやっていたのがゴリゴリのロックだったため、男のファンが多かった。
だから、こういうのには慣れてない。
渚は器用にニコニコ笑い、女の子を喜ばせた。
何故か、ひきつった笑いを浮かべているだろう俺は、「カワイイ」と言われてしまった。
どこがカワイイんだ。
全く、女はわからん。
こいつらの手にかかれば、決して可愛くない納豆のパックさえ、可愛いくしてしまうのだろう。
ああ、変な汗かく。
営業スマイルって、楽じゃねぇな。
やっと解放されたと思って見ると、深音はまだ捕まっていた。
「あのカバー、可愛かったよ!」
「ああいうのも、またやってね」
そう言われて、嬉しそうに笑っている。
しょうがねぇな。
「待ってるか」
「だな」
ライブハウスの壁に寄り、煙草に火をつけようとした俺達に、また一人の女の子が駆けよってきた。