君と、世界の果てで
「ツバサさん」
「あ?俺?」
名前を呼ばれ返事をすると、女の子はコクコクとうなずいた。
「あの……あっちに、ツバサさんのファンが待ってるんですけど」
「は?」
「すごく人見知りな子で。
すみませんが、少し付き合っていただけませんか」
深音には全くかなわないが、背が小さい可愛い女の子は、恥ずかしそうに言った。
「いや……ちょっとそれは……」
「行ってあげたら?深音が解放されたら呼ぶから」
崇文が、ファンは大事にしてほしいと言うように、俺を見つめる。
「……しょうがねぇな……どこだよ」
「こっちです」
めんどくせぇなぁ。
また営業スマイルしなきゃなんねぇのか。
ベース弾いてりゃ良いだけの身分になりてぇなぁ。
不満たらたらで、女の子の後をついていく。
だんだんと深音の姿が、小さくなる。
裏口から道を一本渡り、向かいのビルの駐車場まで連れて行かれた。