君と、世界の果てで
「あれ?」
「どうした?」
「いない……」
「はぁ?」
女の子は、焦った顔をした。
俺が怒ると思うのだろう。
彼女は早口で、弁解を始めた。
「今日初めて会った人で。
ワルエンのファンだって言うから、仲良くなって。
ツバサさんを呼んでほしいって、頼まれたんです。
お嬢系の、綺麗な人で……」
お嬢系の、綺麗な……
すぐ頭に浮かんだのは。
意地悪く笑う、元恋人の顔。
途端に背中に冷たい汗が流れた。
「他には、何か言われたか?
名前はわかるか?」
「え?いいえ……あっ!!」
悲鳴に似た彼女の声は、俺の背中に向けられていた。