君と、世界の果てで


『カメラを見て、ポーズをキメてねっ☆』


「そんなすぐ決まるか!」


「機械にキレないでよ。

ほら、この見本の真似すればいいよ」



指差された機械の画面には、女同士で抱き合って、頬をくっつけて笑う写真があった。


……拷問だ……!



『行くよーっ☆3・2・1……』



カシャ。


結局深音に抱きつかれた、微妙な顔の俺が写された。



『次のポーズを……』


「だから、決まるか!」


「ねぇ、翼さん」


「あぁ?」



腕をつつかれ、横の深音を見た途端。


その細い体が、背伸びをして。


顔の前に爪をのばされ、思わず目を瞑ると。


ちゅっ。


カシャ。


小さな音がして。


その温かい唇が押しつけられたのに気づいた。



「……テメェ!!」


「ほら、まだ時間あるよ?」


「んあぁ、クソ!!
やりゃいいんだろ!」



そこからは開き直って、深音の言いなりになった。


< 358 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop