君と、世界の果てで
「あ……ホラ、ケータイかして」
「はぁ?」
なんだかよくわからなかったが、俺は素直にケータイを深音に渡す。
すると深音は、それを機械にかざした。
それを離しても、何か操作している。
嬉しそうな、イタズラ娘の顔で。
……イヤな予感がする。
「……返せ……」
「はい。
あ、シール出たよ」
「テメェ、何だこれ!!」
舌を出して笑った深音は、機械から出てきたシールを持って、外へ出ていく。
残された俺の手には。
強引なキスシーンが待受画面に設定された、ケータイがあった。
ハートが散らばり、ピンクの文字で、
『みお☆つばさ』
と書かれている。
……ピクピクと、頬がひきつった。
慌てて深音を追いかける。
「直せ!!」
「嫌なら自分でしたら?」
「俺がメカ音痴なの知ってんだろ!?」
「だから、こうしたの♪」
深音はニコニコと笑い、すぐそこにあるカフェを指差した。