君と、世界の果てで
「ごめんね……支離滅裂で……」
そうか。
いつ死ぬかわからないから、悔いのないように生きるのが、今までの深音だった。
しかしやはり、新しい事を知ってしまえば。
次へ次へと、欲が出る。
危険を冒しても何でもやっておかなければという思いと、
できればより長く生きたいという思いの狭間で、葛藤しているんだろう。
俺は思わず、彼女の体を抱きしめた。
たぷん、と湯が揺れる音がする。
「変なの……死にたくないけど、今なら死んでもいい」
「アホか」
「本当だよ?
病院のベッドじゃ嫌だけど、翼さんの腕の中ならいい」
「悲劇のヒロイン気取ってんじゃねぇよ」
「あはは。間違いない」
泣いているかと思った瞳は、にじまずに輝いていた。
ちゃぷ、と水面が揺れて、彼女の細く白い腕が、首に絡みつく。