君と、世界の果てで
……何も、言えないよね。
驚くよね。
あたしも、驚いて声が出なかった。
「……ひくでしょ?」
「ひかないよ!
けど……ビックリした……
今世紀最大のビックリだよ」
「だよね。
相手が男で、しかも兄弟ってねぇ。
マジ、ウケる」
「冗談なの?」
「……冗談なら、良かったんだけどね……」
星空の下、陸とあたしは歩き続けた。
波の音だけが聞こえる道を。
「……兄貴、カッコイイでしょ?
お前の目がハートになってんの、初めて見たもん」
「……うん、カッコ良かった。
キュンときちゃった。
あたしたち、ライバルだね」
あたしは何故か、すぐに受け止められたの。
そして、素直に話ができた。
「バンドやってた頃は、もっとカッコ良かったんだ。
スランプ入って、辞めちゃったけど」
「有名なベーシストだったんだよね?」
「そう。地元アマチュアの中でだけどね」