君と、世界の果てで
あの人の顔が浮かんだ。
美人で、背が高くて。
ブランド物の服を着た彼女。
憎かった。
陸が憎いものは、それを知った瞬間、あたしの敵にもなったの。
「でも、まぁ……できなかったんだ。
俺、生身の女の子じゃ、ダメみたい。
もうダメだなって思ってた時に……
これ、ひくな。
やめよ」
「ひかないよ。
絶対ひかないから、言って良いよ」
「……本当に?」
「あたしは陸のマブダチだよ?」
「深音、かっけぇ」
「でしょ?」
陸は、少し笑ってくれた。
「……俺ね。
実家にいる時にね。
中学の時の兄貴のお下がりの制服、オカズにして……
ヌイちゃってた」
「…………」
「ほら、ひいた」
「……ううん、男の子って不便だね……」
「そう。たまっちゃうの。
誰でも抱けりゃ楽なのにね」
また、悲しい自虐的な笑いが夜空に浮かんだ。