君と、世界の果てで


「今のところ、何もないけど」


『そう……良かった』


「良かった、か」


『……私は、貴方を恨んでたわけじゃないから。

何の情も持てない人と2年も付き合う程、暇じゃないしね。

もう今は、きっぱりあきらめたけど』


「……」


『でも、智はまだあの子に執着してる。

今、深音さんが入院してる事も、貴方とまだつきあってる事も……

どこからか調べてきて、頼んでもないのに私に細かく報告したの。

その連絡が、最近突然途絶えたから……胸騒ぎがして……』


「そうか……わざわざ、ありがとう」


『やだ、お礼なんて気持ち悪い。

もう連絡しない。

ごめんね。

さよなら』



紗江は一方的に話すと、さっさと電話を切ってしまった。


智……。


あいつは、確かにおかしい。


予想できない事をしてしまう。


右腕の火傷を負った時を思い出した。


まだ、嗅ぎ回られていたのか……。


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