君と、世界の果てで
『私は、手を引いたの。
本当の事、全部わかったんでしょ?
それでもあの子が良いなら、私に勝ち目なんかないから。
ううん……最初からそんなもの、なかったのね』
「……それと、智と何の関係が?気をつけろって、何に?」
『わからない。
ただの勘。
だけど、私が手を引くって言ってから、あの人、おかしいの。
うちにまで無言電話かけたり、後をつけたり。
孤立無縁になって、深音さんは入院して手は出せなくなって。
色々溜まっちゃったのか、逆恨みされたみたい』
「おい、大丈夫なのか?お前こそ気をつけろよ。
あいつ、ドラッグに手を出してるみたいだからな……
手を切って正解だ」
『そうなの?どうりで……おかしかったもの。
今は何もないけど……
もしかしたら、翼にも逆恨みで何かしたら、と思って……』
おかしな気分だった。
深音の、陸の敵だった女も。
今は、ただの幼なじみのように話す事ができる。
少しは、お互いに大人になれたのだろうか。