君と、世界の果てで


病と闘っていた君が。


もし、この世界から既にいなくなってしまっていたら。


そんな事実を目の当たりにしたら、また、曲が書けなくなりそうだから。


たった1つの希望が、絶望に変わってしまうから。


臆病な俺は、君を探せないでいる。


ただ、待ち続けているんだ。


君が、どこかで生きていると信じて。


がんばって、有名になって、いい歌を歌っていたら。


きっと、届くって。


信じて、俺もなんとか生きているんだ。


ほら、海が見えてきた。


東京から故郷まで、新幹線で3時間。


若い頃は、ここが世界の全てだった。


全国を回って、やっと気づいたんだ。


俺の世界の果ては、やはりここなんだと。


君がいた、この町なんだ。


この町から離れれば離れるほど、世界は狭まって、俺を窒息させようとする。


どこにも、広がらない。



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