君と、世界の果てで
「確かに……崇文の言う通り、次の曲は、ある人を想って、書いたんだ」
マネージャーが、舞台袖で、腕で大きなバツを描いたが、俺はそれを無視した。
俺は、アイドルじゃねぇ。
「本当に大切だったのに、俺は、何もできなかった。
皆が知ってるように、俺が死にかけて入院している間。
彼女は、どこかに行ってしまって、会えなくなった」
渚が、舞台袖に走っていった。
スタッフに、マイクを切らないように説得しているようだ。
「最後に会った時も、すぐに別れなきゃいけなくて……
ずっと、後悔してる。
何もかも捨ててでも、一緒にいてやれば良かった。
あの事故で、最後の約束も、守れなかった……」
観客は、いつの間にか静まりかえり、俺の話を真剣に聞いているようだった。
「もし、届いていたら。
もし、聴こえていたら。
帰ってきてくれ。
深音。
君を、愛してる」