君と、世界の果てで
「ありがとう。
ラストは、この曲……」
スタッフから指示があり、次の曲に移ろうとした時。
ガラにもなく、涙がにじんだ目で、観客席を見渡すと。
「…………?」
一階席の、端。
通路の奥、出入口の前に。
白い光が見えた。
「……み……」
まさか。
禁欲しすぎで、とうとう脳がやられたか?
目を擦ると。
白くぼやけた光は、段々実体を持つものに変わっていった。
肩の上で切り揃えられた、金色の髪。
白く、細い体。
膨らんだ袖と、ビーズの刺繍のスクエアネックの白いワンピース。
パニエを仕込んで膨らんだスカート部分に集まるレースやリボン。
高すぎる木製ソールの黒い靴。
その光は、ウェディングドレスを纏った天使に見えた。
「……!」
まさか、まさか、まさか。
俺が声を発する前に、その白い光が動き出した。