君と、世界の果てで


そう、時間はまだあるから、少し掃除しなければ。


もうすぐ、深音が来るはず。


他の場所の方がいいような気もしたが、本人がここが一番わかりやすくて良いと指定してきたのだ。


まず玄関のほこりを掃こうと思い、一階に戻ろうとした時。


主のいないはずのベッドが、視界に入った。


布団が、人の形に膨らんでいる。



「……あぁ……?」



まさか。



陸……か?



足音を立てないように、恐る恐る近づく。



……いる。


人が、寝てる。


陸のわけはない。


泥棒の類いか?


冷や汗が、背中を伝う。



「……誰だ!」



思い切って、布団を、ひっぺがしてやると。



「へっっ!?」



そこには、何故か……。


女が、寝ていた。


まだ、昼間なのに。


いやいや、そうでなくて。



「み、お……?」



横向きになって、丸まるように。


彼女は寝ていた。


一階で感じた、甘い香りがふわりと漂う。


ああ、そうだ。ライブの時の香りだ。


深音の香水だったのか。


って言うか、オイ。


鍵、かかってたよな?


どうやって入ったんだ?


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