君と、世界の果てで
彼女は、まっすぐに俺を見つめた。
「じゃあ、ついでに聞いていいか?」
「はい」
「陸は、何か悩んでたのか?」
「悩んでた、と言うよりは……」
深音は、慎重に言葉を選んでいるようだった。
「……病んでいたんだと思います」
「え……?」
「ドラッグストアに売っている、睡眠導入剤を、よく飲んでいたようです」
睡眠導入剤?
そんな物を飲んでいたのか。
全く、知らなかった。
「保険を使って病院に行くと、すぐバレて心配かけるから、と言ってました」
「アホか……あいつ」
「うつ、みたいなものだったかもしれません。
病院をすすめましたが、大丈夫の一点張りで……」
「どうして……」
「そういう病気は、これという原因が無い事もあるそうですから……
自分はそうなるはずないと、思い込んでいたのかもしれません」
深音は、悲しそうにうつむく。
「すみません。
縛って引きずってでも、病院に連れていくべきでした」
「いや、アンタは悪くないから……」