君と、世界の果てで
声が不吉に合わさった後、深音は、うそ、とうめいた。
「心当たり、無いんだよな?」
「ありません……恨みを買うような人じゃないもの……」
「ったく、警察は何やってんだよ!
適当に処理しやがって!」
拳をテーブルに降り下ろすと、深音がビクリと肩を震わせた。
何で、早く気づかなかった?
確認しようにも、遺体はとっくに火葬してしまった。
「ちくしょう……」
犯人を見つけたいと思うと同時に。
そんな事をしても、誰も相手にしてくれないだろうという虚しさと。
陸は、もう帰って来ないのだという事実が。
俺の頭を鈍らせる。
「何か、思い出したら、教えてくれ……
アンタは、帰っていい」
「どちらへ?」
「倉庫……何か、犯人の手がかりがあるかもしれない……」
陸が呼んでいる気がする。
俺はフラフラと、倉庫に向かおうとした。
すると不意に、手に、柔らかな感触が伝わった。
深音が、俺の手をつかんだのだ。