君と、世界の果てで
「しっかりしてください」
立ち上がった深音は、ライブの時のソールの高い靴を履いていた。
それでも、頭は俺の鎖骨の辺りで止まっている。
ああ、この子はこんなに小さかったのか。
「指の内側をしっかり見ましたか?
パッと見ただけ、しかもあの瞬間だけの記憶で、殺人だと決めつけるのは、軽率です」
彼女の黒い瞳は、まっすぐ俺を見て。
形のいい唇は、脳に直接言葉を送る。
「そう…だな……。
でも、一応見ておかないと……陸の最後の場所を」
「じゃあ、一緒に行きます」
きっぱりと、深音が言った。
「あぁ……ありがとう」
俺は、その手を握ったまま、倉庫へ向かった。