君と、世界の果てで
倉庫の鍵は、壊れていた。
俺と深音はゆっくりと、中に入る。
鍵が壊れているのだから、陸も貴重な物は置かなかったはずだ。
たまたま陸がここにいるところを、強盗が入ったとは考えにくい。
それに、仮に陸が誰かに殺されたのだとして、
首をしめてから、自殺に見せかけるなんて。
前から計画していなければ、無理じゃないだろうか。
「きゃっ」
入り口でソールが引っかかったのか、深音の体がガクンと揺れた。
とっさに、彼女の体を支える。
「暗いな……昼間でも。気をつけろ」
深音は、パッと離れて、コクコクうなずいた。
そんな彼女の様子が、俺を正気に戻そうとする。
「陸は、どこで……」
「あそこです」
白い指が示した先には。
鉄棒のような、高さを調整できる簡易ハンガーがあった。
あれが、いっぱいまで、高く伸ばされて。
この子の身長では、届かなかったのだろう。
「音が鳴ってたっていうのは……」
周りを見ると、古いラジカセが置いてあった。
簡単に持ち運びでき、CDとMD、そしてカセットテープまで聴ける、
今では骨董品のような代物だ。