君と、世界の果てで
目が覚めたのは、一階のソファの上だった。
首の下に、柔らかい何かがふわふわとしていて、そこから甘い香りが漂っているような気がした。
あぁ、俺は寝てたんだな。
疲れてるわりに、眠れてなかったから……
目をこすって、天井を見上げた。
はずだった。
「のわっ!?」
思わずのけ反ったら、体がガクンと、揺れて。
そばにあったテーブルに頭をぶつけて、床に転落した。
「翼さん!」
「お、お前……何をして……」
「膝枕ですが……お嫌いでしたか?」
いやいやいやいや!!
嫌いじゃないけど、普通ビビるだろ。
目の前に、深音の人形のような顔がのぞきこんでいたんだから。
膝枕なんて、紗江にだって、してもらった事ねぇぞ。
焦るじゃねぇか。
「いや……悪い。
俺は……何で……」
「倉庫で倒れられたんです。
私では、ここまで運ぶのが精一杯で。
すみません。
疲れたので、一緒に休んでました」
そうか……そうだった。