アイツは私の初彼氏2


「なぁ、さっきの子って……?」

再び帰り道を歩き出して少し経ったくらいに、私は聞いてみた。

「ああ……、1コ下みたいなんだけど最近ずっと付きまとわれててウンザリしてる」

心底疲れた、といった表情で克幸が呟く。

「女子校のお嬢様なんだか知らないけど、自己中で周りの事を気にもしない」

初めの彼女は克幸の行くところに現れては、一番前を陣取って騒ぐだけだったのだけど。

「気が付くと、どこから入ったのかタオルを持って待ってたり、待ち伏せされたりしてて……」

そっか。最近、特に先生達が警戒してたのはそういう理由もあったのか。


「何か、ストーカーみたいだな」

私が苦笑しながらそう言うと、横目でジロリとにらまれる。

「他人事だと思ってるだろ」

「えっ?いや、そ、そんな事ないよ!」

そこでふと、克幸が目を伏せる。

「……悪い。出来るだけさおには、迷惑かけないようにしたかったんだけどな」

あの感じだと、私にも何か言ってくるかもしれないとアイツは言った。

けれど私はそんな心配をよそに、大丈夫だよ!と笑い飛ばした。



 
< 8 / 8 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

お嬢様は不良さんと恋したい

総文字数/10,358

恋愛(純愛)10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
生粋のお嬢様、円城 美羽(えんじょう みう)はある恋愛小説に出会い、『不良』という人種との恋に憧れる。 そんな美羽が出会ったのは、不良の巣窟と言われる蘭海高校の頭を張る、羽村 彰宏(はむら あきひろ)だった―――。      不良 × お嬢様 「危険な好き ~不良くんのお気に入り~」から個人的に気に入っていた羽村くんを出してみました! ↑を読まなくても理解できるように書きますが、読んでもらえると話が広がると思いますので、気になる方はぜひ♪ R6.5.9 スタートします。
危険なスキ ~不良くんのお気に入り~

総文字数/74,362

恋愛(キケン・ダーク)251ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
学校1番の不良―――西園寺 玲(さいおんじ れい)。 大人しい普通女子―――寺島 遥(てらしま はるか)。 「お前、気に入ったよ」 彼に気に入られ、付きまとわれる遥。 最初は怖かっただけなのに。 「寺島は俺の事なんてキライだと思ってたんだが、な」 「キライ、だったもん」 「―――寺島、俺の事が好きなんじゃなかったのか?」 「え、……えっと」 「だったら逃げる必要ないよなぁ?」 『好き』という気持ちは時に弱みになる――― 2011.11.22スタート、2012.11.13完結 2024.5.24 オマケその3更新しました。 CoCoLoさん・神谷りんさんより素敵なレビューを頂きました!! はわわわわ…ありがとうございます! アワワ ヽ(□ ̄ヽ))...((ノ ̄□)ノ アワワ
怪盗は静かな夜に出会う

総文字数/8,376

恋愛(キケン・ダーク)17ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
  ―――大財閥・桐原家の娘である静夜(しずよ)。  その家に、ある物を狙って侵入した怪盗・月斗(つきと)――― 「ようこそ怪盗さん」 「……次期当主ともあろう貴方が、たった一人で怪盗の待ち伏せ?」 「君に会いたかったんだ」 「―――なっ……、お前っ?」 「い、いやっ!」 彼と彼女が出会う時、物語は始まる。 そして、二人の気持ちは近付いてゆく――― 2012.12.20 スタートです!宜しくお願いします♪

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop