結婚白書Ⅲ 【風花】


「朋ちゃん そんなご両親ならお会いするのも難しいのに 

あちらにも反対されるかもしれないじゃない それでもいいの?」


「それは大丈夫だと思うわ 結婚も離婚も自分の意志で決めたんだから 

自分の思うようにすればいいと ご両親はおっしゃってるそうだから」


「そんないい加減な考えの親なら なおさら反対だ 

どこに子供の結婚に関心のない親がいる 信じられん」



父が怒りを露わに 私に食ってかかった



「親ってのはな 子供の将来が心配だから嫌なことも言うんだ

お前達は世間を甘く見すぎている このまま結婚してみろ 

後ろ指を指されるのは 朋代 お前なんだぞ」


「どうして私が後ろ指さされるのよ」


「わからんのか 離婚歴のある課長と結婚してみろ 

お前が原因で離婚したと誰もが思うだろう

いくら本人達が否定したところで 何事も結果がものを言うんだ 

お前が誘惑したと思われても仕方ないじゃないか」


「お父さん 今までそんな風に私を見てたの? あんまりだわ 

私達は出会ったとき彼が結婚していた それだけよ」



あまりの剣幕に母が間に入ってきた



「二人ともやめてください」



母の哀しそうな顔に 次の言葉を飲み込んだ


険しい表情の父がいきなり立ち上がった



「出かけてくる」


「こんな時間にどこに行くんですか」


「朝には戻る」



それだけ言うと 父は愛用のカメラを手にして出かけていった




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