secret name ~番外編~

「佳乃!」

横からの呼び掛けに、驚いて振り向く。
なんとかバッグを落とさずに済んだが、ぼんやりしていたせいで本当に驚いた。

「香里!」
「おつかれ~!」

仕事帰りなのだろう。
香里がバッグを持って、笑っている。
「どうしたの?ここ、香里の会社から遠くない?」
彼女の会社は、佳乃の会社からだいぶ離れている。
「配置換えでさ、こっちの営業区になったんだ。」
「そうだったの。」
そういえば以前もこのあたりで出会った事を思い出す。
あれはまだ、セッテと一緒に歩いていた時だ。
「ねぇ、せっかくだし・・・」
「良いわよ。」
「まだ何も言ってないって!」
言わなくても、分かっている。
香里は飲みに行こうと言いたいのだ。
笑いあいながら、今日はバーでなく居酒屋に行く事に決めた。
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