禁断の果実




「ねぇ、美咲・・・」

先生には聞こえないように沙絵子があたしに声をかけてきた。
あたしは目を丸くして耳を傾ける。

「美咲は好きな人とかいないの?」

一瞬ドクンっと大きく胸が高鳴った。
あたしは一度も和泉先生の事が好きだと2人には言った事なかった。

「ど、どうして?」

「美咲が好きになる相手ってどんな人なのかなって思って」

ニヤニヤと見てくることから、気づいてるのは分かっているけど
沙絵子はどうしてもあたしの口から聞きたいらしい。

「・・・・・・・」

だけど、あたしは何も答えられなかった。

「・・・昨日さ、帰る時美咲だけ遅かったじゃん?」

沙絵子の言葉一つ一つに反応するかのように
ドクン、ドクン・・・と鼓動が速くなっていく。

「そん時、先生と美咲ぶつかったでしょ?」

そんなとこを見られているとは思っていなく
あたしは目を見開いて沙絵子を凝視した。

「その時の美咲の顔・・・すごく女の顔して可愛かった」

みるみる頬が火照っていくのが分かる・・・
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