禁断の果実



「つ、つまらないって言うか・・・勉強があんまり好きじゃないし・・・」

苦笑を浮かべて少し縮こまった様子で真海は呟いた。

「てかこの教室暑いんだもん。汗で化粧落ちるから嫌なんだもん」

続いて沙絵子がそう答える。他の先生だとちゃんと真面目にしている2人なのに
和泉先生の時に限って不真面目になるのだった。


その2人を含め、女子生徒全員が和泉先生の事を好きで構って欲しくてわざとしている行動だった。

「・・・・・・俺は自分の生徒でも特別扱いはしないよ。西野真海は勉強が嫌いで授業中携帯電話をいじっていました。北川沙絵子は暑さで化粧が取れるのが嫌で授業を聞く気はありませんっと・・・これで2人の内申書に響くな」

にっこり・・・と笑い、平気で残酷な事を口にしてメモを取る先生を見て2人は慌てて携帯や化粧道具を仕舞い、教科書を広げた。


「・・・・初めからそうすればいいんだよ。他の先生の時は真面目だっていうのに、なんで俺の時は真面目じゃないんだよ」


女子生徒にモテている自覚がないところがまた女子生徒の気持ちをくすぐってしまう。
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