禁断の果実



そんな和泉先生と生徒たちのやりとりをあたしは微笑ましく見ていた。

他の女子生徒たちは半分お遊びで先生に近づいている方が多かったりする。

ほとんどが彼氏のいる子だったりして本気ではなかった。
でもあたしはそうじゃない・・・本気で先生の事が大好きだった。


けれど告白する勇気もなく、ただじっと見つめているだけだった。
それでもいいと思っていた。それが一番幸せだと思うから・・・。
でもやっぱり少しは他の生徒と同じように近づいてみたい気持ちもあった。




「授業聞いてなくて、困るのはお前らだぞ。強制的に進めるものじゃないけど、ここは学校。勉強するとこなんだ。携帯で遊んだり、化粧したりするのは休み時間にする事。分かった?」


分からせようと真剣に話したものの、生徒たちの暢気な返事が返ってくる。
【本当に分かってんのかよ】と呆れながら小さく呟き、先生は授業を再開した。


その時の返事だけはいつもいい・・・だけど毎回先生の授業になると絶対に一回はこういうやりとりがあるのだった。
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