禁断の果実
そんな事、男の人に言われたのは、和泉先生や今井先生以外では初めてだった。
いつも暗いだとか、ダサいとか言われ続けていて、いい事なんて何一つなかったから・・・正直、この告白は嬉しかったんだ。
「・・・・あ、ありがとう・・・すごく嬉しいよ。告白なんて初めてだし・・・・」
頬を赤く染めながら、ゆっくりと自分の気持ちを伝えると、杉山くんは希望に満ちた表情をした。
でも、あたしは嬉しいけど、好きな人は他にいるから・・・・。
「・・・・・でもね」
そう口にした瞬間、杉山くんはどういう答えが返ってくるのかを察したように、慌てて遮った。
「すぐに返事しなくていいから!!ゆっくり考えて・・・ね?」
「で、でも」
「じゃあ、俺部活戻るから」
あたしの決まっている答えを聞こうとはせず、杉山くんは教室を出て行ってしまった。
杉山くんは、考えてって言ったけど、どんなにゆっくり考えても、結果は変わらない。
こんなあたしを好きになってくれて、ありがとうって気持ちは十分すぎるほどあるけれど、こんな告白された今でも、あたしの中には先生がいる。
告白したのは恥ずかしいし、先生がどう思ってるのか怖いけど、会いたいなって思ってしまうんだ・・・・。
.