禁断の果実
*内緒のPV*
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「あれ?椎名まだ帰ってなかったの?」
下駄箱で靴を履き変えていると、偶然通りかかった今井先生が声をかけてきた。
「は、はい。少し用事があって」
もちろん、杉山くんに告白された事は言えない。
「じゃあついでに送ってってやるよ」
「え!?そんな、いいですよ。まだ少し明るいし」
「西野と北川が一緒ならまだしも、お前一人だろ?変な奴に付いてっても困るしな」
あたしの事を小さいお子様だというように、からかう今井先生・・・。
あたし、そこまでバカじゃないもん。
「もうっ、そんなバカじゃないです」
あたしの反論も虚しく、半ば強制的に送られる事になった。
車を出出すからと校門の前で待たされていると、黒のセダンが目の前に来た。
その車を見た時、一瞬、冷や汗が出た。でも、今井先生が窓から顔を出した時、少し安心した。
「椎名、後ろに乗れ」
今井先生に言われるがまま、あたしは後ろに乗り込むと、助手席に座っている人物を見て、あたしは目を見開いた。
そこに乗っているのは、紛れも無い、和泉先生だったからだ。
先生はあたしの方に振り向き、優しく微笑んでくれた。
どんどん心拍数が上がっていく。