禁断の果実


諦めないなんて、あたしはそこまで想ってもらうほど、いい女でもない。好きでいてくれる事は嫌われるより嬉しい。

でも、他に好きな人がいるに、諦めないというのはどういう心境なんだろうか?

あたしがもう少し冷たく突き放すことが出来たら、きっぱり諦めてくれたんだろうか?


今まで生きてきた中で、当たった事もない壁にぶち当たった気がした。






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翌日、お昼休みになると、突然・・・予想外な人物が現れた。

「お邪魔しまーす」

それはニコニコ微笑みながらあたしの前の席に座る杉山くんだった。

真海がどうやら杉山くんをお昼に誘ったらしく、お弁当を一緒に食べる事になった。

あたしは昨日の事があるから気まづくて仕方が無い。

「うわっ、杉山の弁当可愛くない?」

「あぁーホントだ」

まるで女の子が作るような杉山くんのお弁当を見て、真海と沙絵子が騒ぎ出した。

普通のお弁当箱なのに、それに似つかわしくない可愛い中身・・・本当に可愛かった。
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