恋とくまとばんそうこう
「あー!分かった‼︎千葉さん軟式野球部に好きな人がいるんでしょ!」
ふ、ブーッ‼︎
休憩中、スポーツ飲料を口に含みながら俊は口の周りにこぼれた水滴を拭った。
な…。
目玉だけをちらりと動かして校舎を見上げる。
女の声を特に気にしていない周りを見わたして、ギリギリそれは耳の良い自分にしか聞こえていないものなのだと理解した。
千葉って…。
窓枠の中に、影が二つ。
わさわさ動いている人影の隣に、俊の心を嫌な感じに揺さぶる見覚えのある顔があった。
「誰ー?あ、当ててあげよっか?え?そんな遠慮しないで!」
あははっとよく通る声がギリギリ俊の耳をかする。
「松浦くん?え?違う?ああ、笹谷くん?それも違う?じゃあ…」
ピピーッ!と高い笛の音がグラウンドに鳴り響いた。
ぐわっ、と俊は頭を抱える。
このタイミングで。
なんなんだ。普段はこんな事、気にもしないじゃないか。
俊は心臓の上の部分に手を当てた。
試合とはまた違う、動悸。
どうやら自分は、
その答えを知りたがっているようだった。