恋とくまとばんそうこう
「…それは、反則だろー…。俺が女だったら今ので惚れてるわ。」
「…はぁ、?」
わけのわからない事をブツブツ言う松浦に滝井は試合の時とはまた違う汗をかきながらなんとか話題をそらせたかった。
幸運な事に、二人の会話を割るようにして笛の音が鳴り響く。
ふぅ、とため息をついて最後のボールを拾い、俊は列に並んだ。
集中。
「整列‼︎よろしくおねがいしゃっす!!」
定位置につきながら、俊は既に流れ出す汗をぬぐう。
集中するのは得意だ。
じゃりっと足の裏の感触を大きく感じる。
ボールを、死ぬ気で取る。
試合中はそれしか考えない。
考えられない。
…。
…得意な、はずだった。
時々、爆弾が放り込まれるのだ。
俊にしか内容が聞こえない、絶妙な音量で。
先程のよく通る声が脳内で再生されそうになって、俊は慌てて頭を振った。
今は、考え、ない。
言い聞かすように、言葉を区切って自分の足元を見る。
俊は気持ちを完全に切り替えて、グイッと顔を上げた。