オレンジジュース~俺と一人の生徒~
新幹線から降りた直達を見つけようと駅で待っていた。
だいたいの時間しか聞いていなかったから、俺は何度もたくさんの乗客の中から直を探した。
少しでも早く顔が見たかった。
新幹線の到着が少し遅れているというアナウンスを聞き、俺は車に戻る。
どんな顔をして迎えよう。
俺が一緒にいていいのか…
俺は少し不安になって、さっきコンビニで買ったお茶を飲んだ。
まだ温かさを残したお茶が俺の喉を通る。
曇った車の窓に、「なお」と書いてみた。
いつも直がやる癖。
曇りの取れた部分から、タクシーのライトが俺を照らす。
眩しくて目をそらす。
バックミラーに、人影が見えた。
大きな荷物を持ったお父さんと、その横にお母さん。
後ろには、寄り添うように歩く直とお姉ちゃんの姿があった。