ねぇ、キスして?
予想外の彼の行動にパッと顔をあげたら、目の前には彼の姿。


そして視界の隅には……


こちらを向いているだろう元カノの姿。


どうしていいのかわからず、彼に視線を合わせると、彼はやさしく瞳を細めながら



「奈留のことを紹介したい。いい?」



どこか遠慮がちにそう言った彼はそっとあたしの手を握ってきた。


元カノにあたしを紹介する?


それって、彼女として……ってことだよね?


視界の隅に映る元カノは雰囲気も物凄く可愛らしい人で、あっくんはほんとにあたしでいいのかなと不安になってくる。


だけど……



「嫌?もし嫌なら無理強いはしないよ。でも俺は……奈留を大切な彼女だって紹介したい」


「……」



あまりにストレートな言葉に、あたしの心臓はドキンッと大きく音をたてた。



「どうする?」
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