ねぇ、キスして？
元カノと子供に会ってみたいとついてきたのはあたし。


彼のことを信じるって言ったのも、あたし。


だけど今のあたしの行動は、それを一切無視している状態で。


あたしも一緒にスタート地点に立ちたいと思ったはずなのに……



「降りる」


「ん？」


「ちゃんと、挨拶する」



あっくんから子供がいると聞かされたときに固めた決意を、ちゃんと実行しなきゃとそう言って車から降りた。


その途端、あたしの視界の真っ正面に入ってきた元カノは、凄く可愛らしく微笑んでいて。


女のあたしでもどきっとするほどの素敵な笑顔だった。


あっくんはあたしのことを大切な彼女だって紹介したいって言ってくれたけれど、こんなに可愛らしい元カノを前にするとほんとにあたしでいいのかなとさらに不安が大きくなってくる。


だけどそんな心配をよそに、あっくんはあたしの腰に腕を回して引き寄せながら



「彼女の奈留」



そう紹介してくれた。
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