竜の箱庭
シィは微笑むと、リーズと一緒に料理を作る。
それが毎朝の日課で、シィの好きな時間だった。

朝食を食べ終わった後は、リーズと一緒に家畜の世話をする。

ルードは村長としての仕事で忙しいし、自分たちの食べる分はこうして二人で野菜や家畜を育てて、夜には縫い物をして。
そうして、ゆっくりと一日が終わっていくのだ。

「あ、そうだ…今度の週末なんだけどね、ネリーが一緒に川に行こうって。仕事もあるし、私は断ろうかなって思うんだけど…」

「あら、行ってきたらいいわ。でもエルシア、あなたは身体が弱いんだから、川に入ってはダメよ」

「わかってるわ。足だけならいい?」

「そうねぇ…足だけならね」

リーズが許してくれたので、シィは週末川に遊びに行く事にした。
リーズやルードは、こうしてシィが外で遊ぶ事をたまに反対したりすることがある。
決まって、身体が弱いから…というのだが、シィ自身はそういう自覚はない。

もしかすると、シィが知らないだけでそういう持病を持っているのかもしれない。
そんなことをぼんやり考えていると、ルードが顔を出した。

「おはよう、ちょっと今日は隣の村まで行く用事が出来てしまったんだ。行って来る」

「え、今から?」

シィが驚いて目を見開いた。
隣村…といっても、どちらかというと辺境のこの地域は、近隣の村まで三日ほど掛かるのだ。
ルードが帰ってくるのは、次の週明け、ということになる。

「まぁ…気をつけていってくださいね」

「あぁ、大丈夫だよ」

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