オオカミ系幼なじみと同居中。

やっと声を出す事ができた。

でも搾り出したその声も震えていて。



「…………」



そんなに力の限り抱きすくめられたら
痛いよ……


あたしの言葉に、ようやく要は腕の力を緩め少しだけ距離をとった。




「あとちょっと遅かったら、もうあきらめてた」


「え?」




要は、少し首を傾けてあたしの顔を覗きこんだ。

腕時計に目をやり、時間を確認した要は、もう一度あたしに視線を戻す。




「お前、ギリギリ」


「……なにが?」





「どうゆう事?」と首を傾げるあたしの顔を見て、まるで子供のような悪戯な笑みを浮かべ、にんまりと笑う。

そして、不意に顔を上げると、要は真っ黒な夜空を仰いだ。





その瞬間――――……





ドオォン!

―――パン パン


……ドドォン!!!




…………うそ。




「ハッピー・ニュー・イヤー☆」



呆気にとられるあたしを見て、してやったりと楽しそうに笑う要。
その背後で、大きな音と共に色取りどりの花火が上がった。


音速に合わせて要のシルエットが浮かびあがる。




きれい……


なに、これ。




夜空に浮かび上がる大輪の花。
パッと咲いたかと思うと、それはすぐに消えてしまう。
儚い花。

色の少ない夜の世界に、赤や青、黄色やオレンジのカラーが注ぎ込まれる。
そのリズムに合わせて、要の顔も色んな色に染められた。


ぽかんと口を開けたまま空を見上げるあたしに、要がほんの少し目を細めるのがわかった。




「間に合ってよかった。 ハイ、これ」


「?」




そう言って、要はポケットから何か取り出すと、あたしに差し出した。



「…………」



え?


……こ、これって?






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