黒姫
第10章


「瑞姫。お醤油無くなった」


困ったように首を傾げた妹に、瑞姫は不思議そうな顔で首を傾げ返した。



夜も遅く、午後10時を回った頃だった。
台所で何やらごそごそと働いていた里沙が、瑞姫の部屋に顔を出した。

里沙が他人を頼るのは、8割が料理関係だ。
天宮家の料理担当であり、小学生である里沙の悩みと言えば、身長が小さいことと料理をする時間が少ないことくらい。

そんな里沙とはいえ、こんな時間に料理をするのは珍しい。


「醤油が無くなったって……明日で平気でしょ?」
「明日、お弁当の日」


どうやら里沙の通う小学校では弁当持参らしい。

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