黒姫

里沙は醤油という調味料が好きだ。
里沙にとって最も使い勝手が良い調味料らしい。
料理をあまりしない瑞姫にはよくわからないが。


「瑞姫。買ってきて」


心なしか潤んだ瞳で上目遣い、こてんと幼い仕草で傾けられた首。
ただでさえ“家族”が大好きな瑞姫だが、これは瑞姫でなくても聞き入れたいと思うものだ。


「いいよ、行ってあげる」
「! ありがとう」
「ん。いつもので平気?」
「うん」

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