二手合わせ
**********
(side:恵梨)
帰りたい。帰りたい。
受け入れたくない。
そんなことを考えていたからなんだろうか。
漂っていた意識が浮上する。
埃臭い。
薄っぺらい敷き布団で寝ていたから身体の節々が痛む。
「っん……ん?」
目を開けた…つもりだった。
視界にはなにもうつらない。
真っ暗。
なにも、見えなかった。
まだ夜?
でも手のひらだけ暖かい。
これは多分、陽の光。
じゃあ朝?
なんで何も見えないんだろう。
とりあえず立ち上がって、障子を開けようと思った…が、
「いっ…!」
何かで躓いた。
座り込んで、それが何かを、ペタペタと触って確認する。
「な、んだ。鞄かー」
正体が分かったところで、いざ障子を開けようと再び立ち上がる。