二手合わせ
「よし、行くで、んー……恵梨ちゃん、でええん?」
そう確認するように言って私の腕を持って立ち上がる山崎さん。
私も不可抗力で立ち上がる。
え、恵梨ちゃん?
山崎さんは私の返事を待たずに話を進める。
「外に出るんやったら着替えなあかんなぁ。その着物は嫌でも目立つで?」
「……え」
「女装用の俺ん着物貸そうか?あーでもアンタ体ほっそいなぁ!ブッカブカになるで!でも帯とおはしょりで何とかなるかもなぁ」
山崎さんは私の背中とか腰とかをペタペタと触る。
じ、女装?
え、何、そういう趣味を持った人?
「あ、あの」
「化粧もせなあかんな…血色悪いし…肌はピチピチなんやからちょっと頬に色足すだけでええやろ!」
「………」
「風呂も入ろか、あ、でも目え見えへんのやったな。じゃあ一緒に」
「(何言っても通じない気がしてきた)」
「おいこら変態」
ゴツッという鈍い音が聞こえた。
「いっ…たー!!何すんねん副長!」
「変態成敗だ、何が風呂に一緒に入るだ!!」
どうやら話から察するに副長さんが山崎さんを叩いたらしい。