二手合わせ



目を閉じて、暫く音と香りだけに集中していると

遠くから近づいてくる足音。

そして、ガラッと障子が開けられる音と共に


「副長。連れてきた」

「なんやあの子の目ぇ見えんようなったっちゅう話を聞いたんやけど……ホンマか?」


永倉さんと、…聞いたことのない声の人が入ってきた。

私のそばで二人が座る音がした。


「お、山崎。来たか」


副長さんがそう言ったから、関西弁の人が『山崎』なんだろう。


「で、土方さん、ホンマなん?昨日まで何も無かったやんけ」

「…なんの予兆も無かっただと。とりあえず山崎、お前がコイツを医者に連れていけ」

「……医者んトコまで遠いんやけど。永倉さんじゃあかんの?」

「永倉は今日、剣術指南があんだよ」

「あっちゃー」

「とりあえず連れていけ」

「…わぁった。連れてってくるわ」


副長さんと山崎さんの間で折り合いがついたらしい。



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