二手合わせ



そう考え込んで落ち込んでいた私に


「すまなかった」


と、永倉さんが謝った。

……謝った?


「え、な、なんで謝るんですか!?」

「俺が、星井を捕まえなければ、お前は軟禁されなかった。目も…見えなくならなかっただろう」


いきなりの謝罪に慌てる私に、永倉さんが話したことは、
ここに来てからの私が思っていたことだった。

何もしていないのに、捕まえられて、軟禁されて…

何て理不尽だ、と思っていた。

思っていた…けれど。


「……いいんです」

「…なんでだ」

「あのまま、捕まらなくても、衣食住の確保はできませんでした。私も…確かに、怪しい格好でしたから」


よく考えれば、周囲と違う格好は、疑われる大きな要因になるものだ。

平成でも、怪しい格好というだけで職務質問などをされるわけで。

捕まって当たり前―――、とまではいかないが
疑われるのは当然だったんだろう。



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