二手合わせ


「だから、気にしないでください」


永倉さん以外の人に疑われるのは辛いけど、と言うと
再び、頭の上に手が置かれた。

そして数回、手で髪を梳かれる。


「目は……治る可能性はある」

「…はい」


私は言われたことに頷く。


「俺も…協力する」

「え?」

「何かあったら言ってくれ。何もできないかもしれないが……吐き出すだけでも楽になるだろう。そうすれば、目も、少しは治るかもしれない」


私の髪を触る手付きは、とても優しい。
そのことから、永倉さんは本心から言ってくれたのだと分かった。

だから


「はい」


返事をするとき、自然と笑みがこぼれた。



< 71 / 77 >

この作品をシェア

pagetop