二手合わせ

「幕府のお偉いさんの家が、最近狙われているらしくてな…。娘の身を案じて、新撰組に守ってほしい、と」

「それで…女中として迎えるんですか？」

「ああ。もちつもたれつ……と言ったら聞こえはいいが、単に人手が足りなくてな」


なるほど…。と頷く。


「まあ一週間程度だ。お前のことも、ばれる心配はないだろう」

「はい」


そっか…女の子がくるのか……。
少し会ってみたかった気もするけど、仕方ない。

帰れる日が来るまで、ひっそりと、なるべく人にかかわらないように過ごそう、と思うようになった。

未来を、史実を変えたくない。


…とか、偉そうに言いながら、永倉さんとガッツリ話しちゃってるけど。


「……」

「どうした？」

「え？あ、いえ…」

「？」


それでも、近頃は、前ほどは思い詰めなくなった。

帰ることが出来る、という希望も持てるようになったし、永倉さんとこうして話しているのも、心が軽くなる要因だと思う。

何気ない話というのは、良いものだよね、うん。
前はこんなこと思わなかったけど。

マキと永倉さんの性格は違うけど、むしろ正反対だけど。
でも、こうやって話してると、マキを思い出す。