夜空にランプ
見えていないだけ?
見ようとしていないだけ?
あれはほんの僅かな瞬間の出来事。
眠そうな顔と声を思い出しては、胸の奥がキュッと締め付けられた。
どこか彼と自分を重ね合わせていたのかもしれない。
学校ではありのままではない自分と。
空席の眩しい机が視界に入る度、本当の彼の姿を見てみたいと思うようになっていった。
ひんやりした冬の匂いが鼻先を触る。
ツンとちょっと痛い。
乾いた風の中に、秋が遠ざかる足音が聞こえてくるようだった。