たぶん恋、きっと愛




「て言うか、何処から電話掛けてきたの?知らない番号だったからびっくりしたよ」

「あ…引っ越し、したんです」


柳井は、ふうん、と、それには突っ込む気がないのか、チケットを渡すでもなく、雅の顔を見つめて。

急に真顔になった。


「あー…こないだ、のさ、ライブの時の」

「あ、はい」


淡々と返事はしたが、雅は急に何かに気が付いたように慌てだした。


「あ、あ…あのですね、別に全身を見たとか…特にエロチックな話ではないんですよ?」


「…え? あ…ああ、もしかして刺青の話!?」

「えぇ!? その話じゃなく!?」


なんとなく墓穴を掘った気がして、雅の目は一瞬で遠退いた。


「いや…あの時さ、知り合い、だったんだって思って…」

でも、ちょっと隠す気だったろ?

「なんで、かなあ……とか…もしかして彼氏かなあ…なんて」


言いにくそうに口ごもった柳井が、気まずさを誤魔化すように笑顔を浮かべて。

雅の手にチケットを握らせた。



 
< 137 / 843 >

この作品をシェア

pagetop