たぶん恋、きっと愛



鷹野が、変化に気が付いたのは、帰宅後すぐの事だった。

いつものように、玄関まで出迎えた雅の目が、また腫れている。


明らかに泣いた痕。
だけれども。

この前…宇田川さんが“艶が増した”って言い方したよな…、と。


まさに、そんな感じに色付く肌に、鷹野は灼けつくような焦りを感じた。


確かめるように指を伸ばして頬を撫でても、雅は変わらずに首を傾げた。



「…目、腫れてる」

「あ…実は…ネックレス、無くなっちゃって……」


眉を下げて首筋を探る雅が、肩を落とした。



「学校で?」

「ううん、さっきまであったんですけど……」


「そう。じゃあ後で一緒に捜そうか」



わずかに笑った雅の額に、いつものようにキスをしても、胸のざわめきは消えなかった。


“艶の増した”肌。
無くした、ネックレス。

そして、目に入ってしまった、肩と首の間に咲く、噛み痕。
 



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