たぶん恋、きっと愛


「ああ、そうだっけな、学校の子達いっぱい居たっけ」


友典に雅を預ける事を、諦めたように認めると、佑二は行くのか?と、振り返った。


「俺、自分とこの打ち上げ行くし」

「雅ちゃんは?」

「あたし、凱司さん帰って来てるかも知れないから、帰りたいです」


雅は、自分のハンドタオルを持っている友典の手を取り、僅かに赤く擦れたような痕を残す頬に当てた。


ちゃんと冷やしててください、と友典の手ごと押さえた雅は、友典さんが怪我すると宇田川さんに申し訳ないです、と呟いた。



「……え?」


聞き返す友典から、目を逸らした雅は、一瞬、緊張した色を浮かべると、泣き出しそうな笑顔を浮かべた。



「あ、あたし、田鹿くん達にカッコ良かったって言ってない」

ちょっと言ってきますね、と慌ただしく姿を消した雅を茫然と見送り、最初にため息をついたのは鷹野だった。



「友典お前……物凄く気ぃ使われてんじゃん」

「………」


「俺、だから凱司さんの交友関係、面倒で嫌いよ」

ややこしいったらありゃしない、と佑二はベースギターを背負い、苦笑すると。


まあ頑張れ、とばかりに友典の肩を叩いた。
 


< 539 / 843 >

この作品をシェア

pagetop