たぶん恋、きっと愛


「…凱司さん帰って来たら、訊いてみます」


雅は思う。

ここに住む時に、家事と部屋代を相殺する、と言われた。


では、食費は?
お風呂は?電気は?

甘えてはいけない。
あくまでも、間借り。

こう、並んだ数字を見ると、忘れがちになっていた立場を思い出した。



「細かい計算、してみなきゃですね…っていうか、学費以外のお金は、凱司さんにお任せします」

食費とかと合わせたら、足りないかも知れないし。



そう困ったように昌也を見た雅は、カサカサと紙を元通りに畳み、印鑑と通帳とを重ねて、そっと昌也に押し戻した。


「昌也さん持ってて下さい。あたし、手持ちあるからしばらく大丈夫です」

お年玉もあるし、と呟いた雅に、佑二が小さく吹き出した。



「お年玉?」


すごい久々に聞いた気がする、と笑う佑二に、雅は頬を紅潮させた。


隣で声を殺して笑い出した鷹野を恨みがましく見やり、雅はますます頬を赤らめる。



「いやいやいや!まだ高校上がったばっかりなんだから!」

貰ってて問題ない!


問題なのは、お年玉貰う年齢の子に濃いキスしちゃう一樹だ!



つい大声を上げた昌也にトドメを刺されたのか、雅は両頬を押さえて、悲鳴のような小さな声を洩らすと、テーブルに突っ伏した。
 


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