たぶん恋、きっと愛


「凱司さんに、…訊いてみないと」


雅の目が、再び揺らいだ。

何を思うのか、唇に指を当て、友典から視線を逸らす。



「それに、宇田川さん居ない間にお邪魔したら…申し訳な…」

「そんな事ありません。あなたは家の子で、俺の妹ですよ」


畳み掛けるように、それでも小声で言う友典の口調が、父親に似ていて、雅は思わず口許を綻ばせた。



「でも、鷹野さんにも訊かないと」

「何故」

「何故…って…」

「彼に、雅さんの何を決める権利が?」


綻ばせた口許は、そのままの形を保たなかった。

きゅ、と引き結んだ唇からは、何も答えが出ない。

雅の、落ちた視線は何を見るのか、小さく、首を横に振った。



「…でも、訊かないと」


ともすれば泣き出しそうな声に、友典は我に返る。

だが、引くつもりは無いのか、苦々しい表情で、下校時間までに、凱司さんと連絡を取ってみますから、と。

初めて雅の頭に、手を置いた。
 


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