たぶん恋、きっと愛


そっくりだ、と雅は不思議な思いで友典を見上げた。


頭に置かれた手は穏やかで、宇田川章介と似た匂いがする。

凱司さんを愛して下さい、と呟いた時の、宇田川章介に。



「どうして………」

鷹野さんと一緒にいようとすると、皆が不安そうな顔をするんだろう。

あんなに優しい人なのに。

凱司さんは、鷹野さんと一緒にいたらいけない、とは言わないのに。


抱かれてはいけない、とは言われたけれど。





もう、雅にもわかっている。

鷹野一樹が、時折、自分を欲しがるのを。


それが、好意からくる欲求なのか、単に男女というだけのものなのかは、解らない。

が、時折…例えば、昨日の“上書き”の時のように。

怖いほどに、求められているのが、解る。




「どうして、鷹野さんにあげたら駄目…なんですか?」


凱司さんが駄目だと言ったから?
それとも、私が綺麗な体してないから?



「………え?」


「友典さん、あたし……鷹野さんが欲しい時には、あげてもいい」

それで、鷹野さんが少し幸せになるなら、むしろ、一緒にいたい。



照れることなく、まっすぐに友典を見上げる目は、少しも迷いなどない。

その目に射抜かれ友典は、内臓を鷲掴みにされたような恐怖を、覚えた。




< 647 / 843 >

この作品をシェア

pagetop